横山秀夫 著「臨場」読書 レビュー
横山秀夫氏の短編集「臨場」を読みました。警察官が主人公、今回は変死の現場を見て殺人などの事件性があるか、自殺や病死かを判断する「検視官」です。
天才的な観察眼を持ちその為に出世も転属も止まっていて「終身検視官」という異名を持ち、若い刑事や鑑識官から”校長”と呼ばれる特異な人物を中心に様々な事件が語られます。
「赤い名詞」
「眼前の密室」
「鉢植えの女」
「餞(はなむけ)」
「声」
「真夜中の調書」
「黒星」
「十七年蝉」
の8編
検視官という職業の持つ重みを感じることが出来ました。
殺しを自殺に見誤ったら、悪人が逃げおおせる、逆は多数の捜査員と時間を無駄に使ってしまうことになる。初見の現場を重要視しながら、後輩や鑑識、刑事などに多くの影響を与えるその実力。
この主人公は、死体はもちろん、部屋の匂いや植物の状態、ペットのえさまで、鋭い観察眼で現場の状態を把握して事件の解決までしちゃうんじゃないかと思うほどの眼力の持ち主です。
その男が唯一つけた黒星の訳、弟子に与えた課題、容疑者に語った一言、部下に引き抜いた意外な人物への思い、などが描かれています。
推理小説などに良く出てくる「ダイイングメッセージ」を「したいがそんな洒落たシロモノ残したことはねえ」と言い切ったのが面白かった。
言われて見ればその通りですね。
評価★★★★★
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