« 横山秀夫 著「震度0」感想 | トップページ | 新田次郎 著「剣岳-点の記」感想 »

2008年4月16日 (水)

金庸 著「倚天屠龍記」感想

倚天屠竜記 (1) (徳間文庫―金庸武侠小説集 (き12-30))

金庸先生の著作、 射鵰英雄伝神鵰剣侠に続く射鵰三部作の最後の作品「倚天屠龍記(いてんとりゅうき)」を読み終わりましたので感想です。

宋代末期から元朝を時代背景にした武侠歴史小説の傑作の完結篇。
とは言っても前の2作品に比べると時代がかなり下り、神鵰剣侠の主人公は名前が出てくるだけ、共通の登場人物は郭襄女侠だけですが、それもいつの間にかいなくなってしまい、九陽真経を習得した張三宝は共通と言えば共通ですが、結局主人公は彼の孫弟子まで下ります。

九陽真経を習得した張三宝は少林寺を追われ、新たに武当派を創設して後には太極拳を生み出した、実在あの人物です。

仁義を重んじて正義を重んじる武当派の弟子の一人が、ある事件に巻き込まれ、魔教の娘と知り合う事から話は進んでいきます。

秘曲 笑傲江湖にも魔教という名称が度々出てきますが、あちらは日月神教、こちらは明教です、まあほぼ同じと言っても良いでしょう。

幼い頃から両親を亡くし孤児になってしまった少年が主人公になるわけですが、このパターンも金庸作品に見られる特徴です、また悪人に襲われて重い病を得るわけですが、これも度々見られる設定です。

その後、真っ直ぐな性格と少し?の幸運に恵まれて超人的な力を手に入れるわけですが、これも同じく武侠的流れです。もちろん厳しい修行と研鑽が必要なのは言うまでもありません。

今回の主人公は今までの人達と違って一途な恋をするわけでは無く、結構モテモテで移り気な印象を与えます、これはちょっと違うパターンですね、いったい真のヒロインは誰なのか中々判らないという珍しい展開も楽しめます。

正派と邪派の確執を解き、同族同士の戦いを収めて、共通の敵、漢人を支配しているモンゴル軍を追い払うという物は、大戦当時、日本等の列強に支配されていながら内戦を続けていた中国人をなぞらえているのかとも受け取れます。
共産党と国民党のどちらが正でどちらか邪かは判りませんがそんな気がしてなりません。

閑話休題、物語はそれを手に入れれば天下に号令できるという至宝「屠龍刀」と「倚天剣」を巡って群雄が争うという稀有壮大な物であります、舞台は西域から極北まで広大で、漢人、モンゴル人はもちろん、中東ペルシャ人まで入り乱れての大争奪戦を繰り広げ、数々の名勝負を勝ち残って誰が天下を握るのか?

めまぐるしい展開と手に汗握る戦いは相変わらず変化に富んで飽きませんでした。

宝刀を作ったのは実はあの人だったってのも嬉しかったり、その意味も最後まで読めば納得でした。最後の最後に出てきて活躍した謎の女侠の正体は明かされませんでしたけど、この先があるなら実に楽しみです。完結篇だから無いのかな?

★★★★★

倚天屠龍記 2 (2) (徳間文庫 き 12-31 金庸武侠小説集) 倚天屠龍記 2 (2) (徳間文庫 き 12-31 金庸武侠小説集)
金 庸 林 久之 阿部 敦子

倚天屠竜記 (1) (徳間文庫―金庸武侠小説集 (き12-30)) 倚天屠龍記 3 (3) (徳間文庫 き 12-32 金庸武侠小説集) 倚天屠龍記 4 (4) (徳間文庫 き 12-33 金庸武侠小説集) 倚天屠龍記 5 (5) (徳間文庫 き 12-34 金庸武侠小説集) 倚天屠龍記 5 (5) (徳間文庫 き 12-34 金庸武侠小説集)
倚天屠龍記 5 (5) (徳間文庫 き 12-34 金庸武侠小説集)

by G-Tools

|

« 横山秀夫 著「震度0」感想 | トップページ | 新田次郎 著「剣岳-点の記」感想 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/124571/40852720

この記事へのトラックバック一覧です: 金庸 著「倚天屠龍記」感想:

« 横山秀夫 著「震度0」感想 | トップページ | 新田次郎 著「剣岳-点の記」感想 »