新田次郎 著「栄光の岩壁」感想
栄光の岩壁 (上巻) (新潮文庫)
栄光の岩壁 (下巻) (新潮文庫)
山岳関係書籍でこの人の存在を無視して語ることは出来ないでしょう。という程の山岳小説の大家、このジャンルを作り上げたと言っても過言じゃないかもしれません。
新田次郎氏の山岳小説の紹介をしたいと思います。
まず最初は、「栄光の岸壁」です。前回紹介した山靴の音の著者がモデルです。
日本人で初めて「アルプス3大北壁」の一つマッターホルン北壁を登攀した、日本山岳界に名を残す名クライマーの人生を描いた小説です。
山靴の音では、本人が淡々と語っていた「遭難、凍傷、指切断、北壁挑戦」などの事柄を、ドラマティックに感傷的に、まるで本人になったつもりで読める作品です。
若気の至りと言うには余りにも厳しい現実と、足指切断という登山家にとっては致命的とも言える障害を乗り越えて行く姿は、実に感動的です。
ありきたりのコメントになってしまいましたけど、他に言い表せないのでご容赦下さい。
登山家、特に高所で岩を攀じるクライマーにとって、足先が無いというのはとんでもないハンデなのです、小さな突起につま先を乗せて、全体重をかけなければならないからです、又、氷などの場合はアイゼンを付けて、つま先の爪を氷に食い込ませなければ滑落してしまいます。
ハンデを持つクライマーという事ではブラインドサイト~小さな登山者たち ~のガイド、エリック氏を思い出します。ハンデが無くても岸壁とかヒマラヤとか挑戦する根性の無い自分には彼らは文句なしに賞賛に値します、挑戦するだけでも凄いことだと思いますね。
本の話に戻りますが、主人公は指切断後も山を諦められずに、冬の間に山小屋の管理人をして生活と山を両立させるのですが、その山小屋が上高地にある小屋で、今でこそ冬山登山の拠点としてかなりの人数が入る場所ですが、物語の当時は一冬に多くても2~3組しか登ってこない場所だったそうです、ここでの生活は恐ろしく孤独で辛かったようです、亡くなった友人が現れたとか、そんな事も語られています、恐ろしいと言うより懐かしいという想いが有ったそうで、どれだけの孤独だったかが窺い知れます。
★★★★+
そんな訳で新田次郎シリーズの最初にふさわしい、と勝手に思ってた作品でした。
ちなみに新田次郎氏は、NHKの『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』第1回で取り上げられた富士山レーダー建設を指揮した気象庁の藤原課長その人なのでした。
次回はその話を描いた小説について紹介します。
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/124571/40691022
この記事へのトラックバック一覧です: 新田次郎 著「栄光の岩壁」感想:







































コメント