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2008年4月13日 (日)

「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち) 」映画感想

Mo5665_f1 先週見ようと思って上映劇場まで行きながら、”立ち見”の表示を見て泣く泣く断念してきた映画を今回は時間の余裕を持って臨みました。

「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち) 」あさま山荘事件を引き起こした連合赤軍の内情や事件前に起こったいわゆる「内ゲバ」と言われる内部抗争なども克明に描いた作品です。

個人的にこの「あさま山荘事件」というのは忘れることの出来ない事件でした。
犯人の思想や背景など何も知らないで、延々と放送されるTV中継の映像を、食い入るように見ていた記憶が鮮明に残っています。

ストーリー「1972年2月、革命を目指す連合赤軍のメンバーである5人の若者たちが、長野県のあさま山荘に立てこもる。警察との攻防のすえに逮捕される彼らだが、やがて仲間内での同志殺しが次々と明らかになる。」

http://wakamatsukoji.org/(公式サイト)

後ほど紹介するつもりですが、「突入せよ!」という映画では警察の側から、事件解決を目指す人々の戦いを描いていたわけですが、この映画は徹底的に犯人、連合赤軍の側から事件とそこまでに至る事柄を描いています。
実は”そこまでに至る事柄”の方が長いので上映時間も3時間を越える長いものになっています。

しかし公開開始から結構経ってるのにほぼ満員というのは、単館限定とはいえ驚きました。

Mo5665 始めに実際のニュース映像で60年代の安保闘争の映像が流され、当時の混乱した雰囲気と赤軍の前身となる数々の団体や活動が生々しく表され、再現ドラマとして活動家達の心情が描かれます。またナレーション担当の原田芳雄の声が重々しくて雰囲気を盛り上げてくれていた。

物語は赤軍創立の経緯も語られ、創立メンバーで後に世界的事件を引き起こす重信房子もちゃんと実名で登場しています。
元々は純真で、アメリカ占領の続きのような安保条約に反対して、世の中を良くしようと考えた学生達の、不満の爆発だった活動が、相次ぐ権力の締め付けに反発した結果、どんどん追い詰められて過激な思想へと流れて行ってしまう様は、現在の状況を知っているものから見ると哀しくも滑稽に感じてしまいます。

ピストル狙いで交番を襲ったり、銃砲店を襲撃して武器を奪い、戦争宣言にまで発展して、自らを革命戦士と名乗る頃から実は組織は瓦解し始めていたのでしょう。
やがて活動家の内部でも思想や活動への意欲の微妙なズレから、仲間同士でいがみ合い、指導者の圧制とも言える状況に変化していきます。

狭い、限られた空間で、過激な生活を続けるうちに、近視眼的な妄想とも言える、一般常識では理解できない仕打ちが始まります。
後に世間を震撼させた「オウム事件」の状況と似ていると思ったのは自分だけじゃないでしょう。

社会主義の理想に実現に向けて戦うはずの革命戦士が、実は彼らの最も嫌う帝国主義的圧制を始めた事に気が付かなかったのは歴史の皮肉と言えるかもしれません。

一人でも戦力が必要なはずの組織は「総括」や「自己批判」といった理解不能な文言によって事故崩壊を始めます。

やがては追い詰められて逃げ惑い、切羽詰った状態でたどり着いたのが、「あさま山荘」という建物だった、という事でした。

事件当時なぜ山奥の静かな山荘が襲われ、人質までとって立てこもったのか、当時理解でき無かった事柄が繋がっていきました。

外から見ていて恐ろしく凶悪な犯罪者だと思っていた犯人達が、何を考えてなぜあのような無謀な行動に出たかを教えてくれた映画でした。

ナレーションの入れ方や、事件の被害者の場面では「仁義無き戦い」を思わせる作り方になっていたのも引き込まれた一因かもしれません。
権力と戦いながら内部抗争を続けていたってのか共通点と言えば間違ってはいない気がします。

途中から彼らの行動に疑問を持ちながらも事件に係わらざるを得なかった高校生の少年が哀れでした。

★★★★+

追記:彼らの理想はどうあれ、人質を取って立てこもったことには変わりなく、人質の自由を奪った以上正義などは存在しない、たとえ権力側とはいえ人を殺してしまったからには犯罪者でしかない。
何も知らないでTVの中継を見ていた自分らは、この事件をきっかけに、共産主義=悪、という図式がインプットされてしまったのも事実です。
事実この事件以降、学生運動やデモも沈静化して安保闘争への同情は薄れていった、ターニングポイントだったのかもしれません。
何よりこの事件を起こしたのが赤軍の幹部でも中心人物でもなく、場当たり的に起こっていたのと言うことが驚きでした。

突入せよ!「あさま山荘」事件
突入せよ!「あさま山荘」事件

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受信: 2008年4月24日 (木) 21時41分

コメント

くまんちゅうさん こんにちは。
立ち見なほどに盛況だったとは!ベルリンでも好評だったからかしら。これも興味深そうな作品、公開している間に観に行くつもりです。
予習にと思って読んだ新潮社「連合赤軍少年A」が強烈でしたよ。あさま山荘に立てこもったグループの中には19歳と高校生の二人の未成年者(この二人、兄弟で次男坊と三男坊。あさま山荘にたどり着く前に長兄が「総括」で落命している)がいて、その当時19歳の人が2003年実名で発表した回顧録、「総括」の場にずっと居合わせてしまった人として書いたノンフィクションです。おさえた筆致なんだけど事件が普通じゃないから、強烈。
内情を知ってみると、そんなチンケな理由であんな騒ぎを起こしてたのかい!と、おっしゃる通り哀しくも滑稽に思えます。なんか現実離れしてるのよね。

投稿: だかつ | 2008年4月15日 (火) 00時14分

だかつさん、コメントどうもです。

少年Aは赤軍に加入するところから全て描かれています、兄の総括場面も!
衝撃的な映画ですね、あの事件の事は実際に見ててもその裏にある物は今回始めて知ったものも多かったです。
現実離れしているのは狭い世界に篭もっちゃってるからでしょうかね?

投稿: くまんちゅう | 2008年4月15日 (火) 19時48分

こんばんわ。

あさま山荘事件って、それそのものだけがかなり有名な気がしていたのですが・・・そもそも山岳ベース事件があってこそのあさまだったんだということを知れたのが意義深かったです。

「なんで?」「どうして!?」と共感できぬ思いがほとんどでしたが・・・若松監督の渾身と情熱がスクリーン全体から伝わってきて、久々に圧倒された1作でございました。

投稿: 睦月 | 2008年4月17日 (木) 00時43分

睦月さん、こちらもコメントどうもです

あさま山荘事件が大騒ぎだっただけに、行き当たりばったりの、下っ端が起こした事件だったってのが驚きです。
偉そうな幹部はあっさり捕まってたとは!?
その辺がやり切れないですね
共感は出来ないけど、おかしくなって行く様子がリアルで怖かったです。

投稿: くまんちゅう | 2008年4月17日 (木) 21時13分

同じテーマの『光の雨』で、言葉にはできないような暗い気持ちになりました。
なので、この作品にも興味は持っていますが、
観るのがすごく怖いです。
事実っていうのが信じられない事件ですよね。
私も、思いが募ると周りが見えなくなる性格で、
自分自身に、危険な要素があるだけに、ぞっとします。
でも、そもそも何日もお風呂に入らない生活なんてできないなぁって
ヘタレな自分に少しホッとしたりして(^_^;)

投稿: 奈緒子 | 2008年5月 7日 (水) 16時28分

奈緒子 さん、コメントどうもです

『光の雨』は見てないんです、同じテーマを続けては怖いですね、こちらは登場人物は実名だそうです。
小さな集団でも周りから切り離されると心理状態がおかしくなってても、指摘できない雰囲気が出ちゃいます、危険です。
まあ長期で山へ入れば風呂は行けないですが、下山した後の温泉は堪らないですね、って何の話だ?

投稿: くまんちゅう | 2008年5月 7日 (水) 19時37分

こんにちは♪
相変わらずTBが入らないようでスミマセン。
昔から興味を持っていた題材だっただけに初日に駆けつけました。
【光の雨】で総括の事は知っていたし(もっと悲惨な描写もありました)、【突入せよ】であさま山荘のことは大体分かっていたので、前半三分の一の60年代の描写部分がかなり面白かったです。
タイトルどおり「道程」が分かったのが収穫でした。

投稿: ミチ | 2008年6月18日 (水) 22時21分

ミチさん、コメントどうもです

【突入せよ】は見ましたが、【光の雨】は未見なので改めて総括の恐ろしさを見た気がします。
あさま山荘事件も内部からの視点というのも新鮮でした。「道程」だけで事件の終わりまでやらないのかなとも思ってましたがしっかり決着してましたね。
3時間掛かるわけですな・・・
一部のドキュメンタリードラマ風の部分も判り易くて面白かったです

投稿: くまんちゅう | 2008年6月18日 (水) 22時35分

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